【第118回】歯止めがかからない日本の少子化
2018年4月1日現在における全人口の子ども(15歳未満)の数は1553万人で37年連続の減少で、その割合は44年連続の前年比マイナスとなる12.3%――5月4日に総務省統計局が発表した人口推計によるもの。いずれも1950(昭和25)年以降、最低の数字で過去最低レベルを更新し続けている。
予想されたこととはいえ、人口減少・少子化・高齢化社会――といった連鎖が加速度を増していることに驚きを禁じ得ないだろう。これが世界的な流れの中で珍しいことでなかったならまだいい。しかし、全人口に占める子どもの割合は、日本が圧倒的に低いのである。似たり寄ったりの傾向がある韓国やドイツ、イタリアでさえ13%台に乗せており、日本とは1ポイント近くも開きがある。「一人っ子政策」で人口増の抑制に走り過ぎた中国ですら16.8%を占めていることを考えれば、日本の少子化は「ただならぬ状況」に陥っていると言っても過言ではあるまい。
さかのぼれば、日本で女性が一生に産む子どもの平均数(合計特殊出生率)が「1.57(人)」であるとされたのが1990(平成2)年、今から28年も前のことだ。それ以降、政府はあの手この手で対策を講じてきた経緯はあるものの、出生率は一向に回復しない。2016年の合計特殊出生率は「1.44(人)」で、こちらも減少へさらに加速している。
そもそも結婚しない(できない)時代とも言われるさなか、出生率云々はそれ以前の話だ、という。日本人の所得格差があっという間に広がった現在、いくら制度を充実させても「子どもをつくる気にはなれない」というのがホンネなのではないか。もう一点。一気に右傾化した政府の現状をみる限り、徴兵制・兵役義務の復活が笑い話で終わらないことも少子化の遠因になるかもしれない。
親の立場を考えるなら、「自分と同じような苦労は子どもにさせたくない」と考えるのが筋。と同時に、先行きを見通せないこの国の不安定な政治・経済・外交・教育――が、出生率アップを阻んでいるとは言い過ぎだろうか。