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【第114回】大相撲でまたまたトラブル

 暴行から内紛、セクハラに至るまでワイドショーネタには事欠かない「大相撲界」が、またまた大変な大失態をやらかしてしまった。4月4日、京都府舞鶴市での巡業興業において、多々見良三市長が挨拶中に突然、土俵上で倒れ込んだ。ただ事ではないと察知した客の女性看護師数人が土俵に上がり、とっさの判断で救命措置をほどこしたとき、信じられないことが起こった。「女性の方は土俵からすぐに降りてください」――三回にわたってアナウンスされた館内放送に、舞鶴文化公園体育館を埋めた3000人の観客は我が耳を疑うことなく、あまりに常識外れの事態に義憤と怒りに駆られたことだろう。

 結局、日本相撲協会の八角理事長ら幹部が翌日に釈明会見をし「どんな時も人命が第一」としたうえで、救命処置や場内放送などの指導を徹底していく姿勢も示した。しかし、その後もワイドショーの格好のネタとなり、過去の問題点もほじくり出される顛末となった。さらに米ニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、英BBC放送などでも「日本でどのように女性が扱われているか、これで分かる」と大きく取り上げられ、世界的なニュースにまで発展した。

 格式・伝統・歴史――こうした話と結び付けるのはこの際、やめにしておこう。そもそも江戸時代の初めから興行としての相撲が続いているのだ。いくら書いてもキリがない。しかし、不特定多数の人々が集まる公共の場で、心臓マッサージなどの救命措置もままならない体制を敷いているのはいったいどういうことか。女性看護師が云々という前に、倒れた市長をとり囲んでいた男性数名の関係者たちは、土俵上でなにもしていなかったし、なんら具体的な行動をとるわけでもなかった。それを見て職業意識もはたらき、女性は行動したのだ。主催者は感謝こそすれ、「土俵から降りてください」などといえる立場になかったことはいうまでもないであろう。

 それにしても相撲界はお粗末すぎる。「こんなことは想定外の出来事だった」、「今までにこのようなことは起きなかった」と厚顔で語る相撲界幹部の言葉を聞くにつけ、呆れて言葉を失ってしまった。福島の原発から大量の放射能を空と海にばらまき、世界中に「恥ずかしい国・ニッポン」を知らしめたのは2011年のこと。あれから7年、またしても「恥ずかしい国」であると同時に、「理解不能な国」であることも世界中に伝えたのは、ニッポンの国技・相撲なのであった。