【第107回】驕りの政権党
6月25日、自民党の若手議員約40人による「文化芸術懇話会」の初会合が開かれたが…。出席メンバーを見ると、自民党本部で憲法改正を推進する安倍晋三首相の側近や政権を支持する文化人で構成され、参加者たちの言論弾圧ともとれる発言が物議を醸している。
講師として呼ばれた作家の百田尚樹氏:
講演後の雑談ではあったが「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」。「あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」とも主張。
自民党議員A:
「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくためには、どのようなアクションを起こされるか。左翼勢力に完全に乗っ取られているなか、大事な論点だ」
自民党議員B:
「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。政治家には言えないことで、安倍晋三首相も言えないことだが、不買運動じゃないが、日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけしてほしい」
自民党議員C:
「福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。日本全体でやらなきゃいけないことだが、スポンサーにならないことが一番(マスコミは)こたえることが分かった」
いずれの発言も質疑応答時の雑談での放言だが、特に百田氏は、「ギャグで言った言葉を切り取られた。しかも部屋の外から盗み聞き! 卑劣!それにしても、報道陣は冒頭の2分だけで退室したのに、ドアのガラスに耳をつけて聞き耳してるのは笑った。
しかし、正規の取材じゃなくて盗み聞きを記事にするのは、ルール違反だし、卑劣だろう!」 と自身のツイッタ―で呟いている。
いつから自民党はこんなに低レベルな党になってしまったのだろうか。
以前の自民党には、もっと謙虚さがあったのではないか。
政権党としての自覚を、強く自覚してきた歴史があったのではないだろうか。
言論の自由は憲法で保障されている。だからと言って、何を言ってもOKとはならないだろう。国会議員が表面上マスコミを嫌っていることは、ほとんどの国民が分かっていることだ。それが、「オフレコ」とはいえ沖縄への誹謗中傷と疑われる内容やマスコミ弾圧ともとれる発言など、とても政権党の議員や文化人による発言とは到底思えないものばかりである。
今回の件、“驕り”という言葉ばかりが浮かんでくる。
沖縄の方々の不信感は増すばかりではないだろうか。
(播磨 万世)